相続不動産の売却は何から始めればいい?相続後のフローも解説
不動産相続が発生した際、まず遺産分割協議を行い、相続人全員で財産分配を合意します。次に名義変更手続きを法務局で進め、所有権を正式に移転します。これを怠ると、将来的に不動産売却や権利主張で問題が生じる可能性があります。
相続不動産を売却する場合、相続登記後に不動産業者と媒介契約を結びます。早期の売却により、維持費用を削減できるため、経済的負担の軽減が期待できます。
目次
不動産相続が発生したときにやること
不動産相続が発生すると、まず相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分配方法を決めます。次に、不動産の名義変更手続きを行い、正式に所有権を移転します。これらの手続きは、将来のトラブルを避けるためにも迅速かつ確実に進めることが重要です。
◇1.遺産分割協議
遺産分割協議は、相続が発生した際に、相続人全員で被相続人の財産をどのように分けるかを話し合う重要な手続きです。被相続人が遺言書を残していない場合、この協議で財産の分割方法が決定されます。協議が終了するまで、相続財産はすべての相続人の共有財産として扱われます。
したがって、全員が納得できる形で話し合いを進め、合意に達する必要があります。進行役は誰が務めても問題ありませんが、各相続人の意見を尊重し、円滑な協議を心がけることが大切です。
◇2.不動産の名義変更
不動産の名義変更、つまり相続登記は、相続が発生し、相続人が確定した後に必要な手続きです。この手続きでは、法務局で不動産の名義を被相続人から相続人に変更し、所有権を正式に移転します。相続登記は義務ではありませんが、将来不動産を売却したり、第三者に権利を主張したりする際には欠かせない手続きです。
登記をしないままだと、他の相続人によって勝手に共有されたり、第三者に譲渡されたりするリスクがあるため、早めに手続きを行うことが重要です。法務局は平日のみの対応で手続きが複雑なため、司法書士に依頼することが一般的です。
相続不動産の売却でよくある問題
浜松市で相続不動産を売却する際には、いくつかの問題が発生することがあります。例えば、名義変更がまだ済んでいない場合や、相続人同士の意見が対立し遺産分割協議が難航することがあります。これらの問題が原因で、手続きがスムーズに進まないことがあります。
問題を解決するためには、事前にしっかり準備をし、専門家のサポートを受けることが重要です。
◇実家を相続したが住む予定がない
実家を相続したものの住む予定がない場合、相続放棄を検討することも一つの選択肢です。
ただし、相続放棄をすると、実家の不動産や負債だけでなく、預金や株式などのプラスの財産も全て放棄することになります。部分的な放棄はできないため、まずは被相続人の財産と負債の全体像を正確に把握し、慎重に判断することが重要です。
また、限定承認という手続きもあり、これはマイナス財産を差し引いたプラス分のみを相続する方法です。ただし、この方法も手続きが複雑で、最終的には実家の処分が必要になることが多く、通常の相続と大きな違いはありません。
相続放棄や限定承認は異なる手続きなので、それぞれのメリットとデメリットをよく理解し、慎重に検討することが大切です。
◇不動産の名義変更がなされていない
相続が始まり不動産を売却しようとした際、亡くなった人ではなく、さらに前の所有者の名義のままだったという問題が発生することがあります。これは、過去の相続時に不動産の名義変更が適切に行われていなかったためです。
この場合、まず前の相続の手続きを完了させる必要があります。これには、前の相続人全員と連絡を取り、名義変更を行わなければなりません。
ただし、前の相続人が既に亡くなっていたり、連絡先が不明だったりする場合、手続きが複雑化し、スムーズに進まないことがあります。この状況を放置すると、新たな相続人が追加される可能性があり、問題がさらに深刻化する恐れがあります。
そのため、早めに対処し、専門家のサポートを受けることが推奨されます。
住まない相続不動産の扱い方
住まない相続不動産をどう扱うかは、多くの相続人が直面する課題です。名義変更が完了した後、不動産を売却する、賃貸に出す、または土地を活用するなど、いくつかの選択肢があります。これらの選択肢にはそれぞれ利点と課題があるため、不動産の現状や将来の計画を考慮し、最適な方法を見つけることが重要です。
◇売却する
相続した不動産を売却する際には、まず相続登記を完了させて名義を変更する必要があります。名義変更が完了したら、不動産業者に売却の仲介を依頼できるようになります。不動産業者と媒介契約を結ぶことで、相続不動産の情報が市場に出回り、購入希望者を探すことが可能です。
媒介契約には、専任媒介契約、専属専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があり、それぞれ異なる特徴があります。
専任媒介契約や専属専任媒介契約では、1社の業者に依頼するため、よりきめ細やかなサポートが期待できる一方、一般媒介契約では複数の業者に依頼できるため、広く購入者を募ることが可能です。どの契約を選ぶかは、売却のスピードや条件に応じて判断しましょう。
◇賃貸に出す
相続した不動産を賃貸に出す際には、住宅の場合、不動産管理会社に管理を依頼するのが一般的です。管理会社は、入居者とのトラブル対応や家賃未納時の督促など、賃貸物件の運営全般をサポートします。
土地の場合は、更地のままで貸して地代を得るか、建物を建てて賃料収入を得る方法があります。さらに、借地借家法の改正により、定期借地権を利用すれば、契約期間満了時にトラブルなく土地を返却してもらうことが可能です。
土地の活用方法としては、民泊やシェアハウス、駐車場として整備することも検討できます。
早期に売却すればランニングコストの削減が可能
不動産を所有していると、固定資産税や都市計画税、修繕費などのランニングコストが毎年かかります。これらの費用は、長期間にわたると大きな負担となるため、早期に売却することでこれらのコストを大幅に削減し、将来的な経済的負担を軽減できます。
◇管理費用を削減
一戸建ての場合、維持にかかる修繕費は年間で数十万円から数百万円に達することがあり、さらに毎年1〜2万円ほどの損害保険料もかかります。特に建物が古くなると、屋根や壁の修繕費が増え、思わぬ出費が発生することも少なくありません。
一方、マンションでは毎月の管理費や修繕積立金が1〜2万円程度必要で、これに加えて年間1〜2万円の損害保険料も発生します。これらの維持費用は長期間にわたって積み重なるため、結果的に大きな負担となることがあります。
早めに不動産を売却することで、これらのランニングコストを抑え、不要な支出を避けることができるため、早期の売却は賢明な選択肢と言えるでしょう。
◇固定資産税等を削減
土地や建物を所有していると、毎年固定資産税と都市計画税が課されます。例えば、固定資産税評価額が1,500万円の土地の場合、固定資産税は21万円、都市計画税は4万5,000円となり、年間で合計25万5,000円が必要です。
住宅が建っている場合は、税額が最大で6分の1に軽減され、年間4万2,500円ほどになりますが、所有している限りこれらの維持費は発生し続けます。特に固定資産税や都市計画税は毎年発生するため、長期間所有する場合、その合計額も大きくなります。
しかし、早期に売却すれば、こうした税金や維持費の負担を大幅に減らし、将来的なコストを抑えることが可能です。
不動産相続が発生した場合、まず行うべきは遺産分割協議です。相続人全員で被相続人の財産をどのように分配するかを話し合い、合意に至る必要があります。この協議が完了するまで、相続財産は相続人全員の共有財産とされます。
合意が得られたら、不動産の名義変更手続きを進めます。名義変更は法務局で行われ、被相続人から相続人へ所有権が正式に移転されます。名義変更を行わないと、将来的に不動産の売却や第三者への権利主張が難しくなり、トラブルの原因となる可能性があるため、早期に手続きを進めることが推奨されます。
相続不動産の売却時には、名義変更が済んでいない場合や遺産分割協議が難航することがあります。このような問題に直面した際には、事前の準備と専門家のサポートが不可欠です。
また、住む予定のない不動産を相続した場合は、相続放棄や限定承認を検討することもありますが、それぞれの手続きには慎重な判断が必要です。
不動産を売却する際には、相続登記を完了させた後、不動産業者と媒介契約を結び、売却活動を進めます。賃貸に出す場合は、不動産管理会社に運営を任せることが一般的です。土地を賃貸に出す場合は、定期借地権を利用することでトラブルを防ぐことが可能です。
不動産を早期に売却することで、固定資産税や修繕費などのランニングコストを大幅に削減できます。特に、古い建物やマンションの維持費用は長期的に大きな負担となるため、早めに売却することが経済的負担の軽減につながります。