不動産売却で決めておきたい2つの価格とは?
不動産売却を成功させるためには、売却希望価格と売却可能価格の2つの価格設定が重要です。希望価格だけに固執すると、売れ残るリスクが高まり、物件の価値が下がることもあります。一方、適正な価格を設定することで、売却期間を短縮し、次のステップに迅速に進むことができます。
目次
売主が考えておきたい2つの価格
不動産売却を考える際、売主が慎重に検討すべき重要なポイントがあります。それは、売却希望価格と売却可能価格の2つの価格設定です。売却希望価格は売主が望む売却額であり、売却可能価格は、市場の動向や物件の状況に基づいて算出する売出価格の下限値です。
この2つの価格をしっかりと設定することで、スムーズな売却プロセスを進めることができます。
◇売却希望価格
売却希望価格とは、売主が「このくらいで売りたい」と思う価格のことです。売却希望価格は売り出し価格の上限値でもあります。売却に急いでいない場合は、売却希望価格での売り出しがおすすめです。
ただし、売却希望価格の価格設定をする際に相場を無視してしまうと、なかなか買い手が見つからないケースもあります。希望価格を設定する際は、適正相場を把握しておくことも重要です。
◇売却可能価格
売却可能価格とは、売主が「この価格までだったら値下げできる」価格のことをいいます。売り出し価格の下限値のことで、急いで売却したい方におすすめな価格設定です。期間を設ける場合は、購入状況などに合わせて売り出し価格を徐々に下げていきます。
価格設定でよくある失敗
画像出典:フォトAC
不動産売却での失敗で多いのが売主による価格設定です。失敗事例として次の2つが挙げられます。失敗事例を知っておくことで、今後不動産売却を検討している方も安心です。
◇相場より高くて売れない
売り出し価格を相場よりも高く設定してしまうと買い手がなかなか見つからないケースも少なくありません。不動産が売れるまでの期間は平均約3〜9ヶ月が平均とされています。相場より高い価格でも売れる物件はありますが、よほど魅力がない限りは売れ残ってしまうケースがほとんどです。
また、不動産会社によっては、査定額を相場より上回る金額を提示してくる場合もあるため、注意が必要です。こうした売れ残りや不動産会社間でのトラブルを避けるためにも業者選びや自分であらかじめ相場を調べておくと失敗を防げます。
◇売れたはいいがローンが残ってしまった
次に多いのがローンの残債を売却価格で完済できないことです。完済できない場合、新居の家賃やローンと二重で払わなければなりません。不動産が売れるまでに平均約3〜9ヶ月ほどが目安ですが、あくまで目安のため物件の状態やエリア、立地などによっては、1年以上かかってしまうケースもあります。
そのため、余裕を持っての行動が非常に重要ですが、不動産売却の知識がない場合、売り主は早く売ろうと焦って値下げしてしまいがちです。結果、相場よりも下げてしまい、ローンの残債よりも売却価格が少なく完済できないといった失敗事例もよくみられます。
適切な売却希望価格・売却可能価格を決めるコツ
上記のような失敗をしないためにも、適切な売却希望価格と売却可能価格を設定することが重要です。この2つの価格は、売主の希望と市場の現実を反映させたものでなければなりません。
◇成約価格も参考にする
不動産売却で失敗しないために、あらかじめ相場価格や成約価格(売却可能価格)を調べておきます。売却を考えている物件の条件と似ている物件が市場でどのくらいの価格で取引されているのか、調べておくことおくのが重要です。調べておくことで売り出し価格を決めやすくなります。
また、相場価格と合わせて成約価格も参考にしておくと値下げ可能な下限値も決めやすく、相場より値下げしてしまうリスク防止にもつながるため安心です。特に住宅ローンが残っている方は、住み替え予定の新居にかかる費用などの資金計画も考慮した上で売り出し価格や成約価格を決めておきましょう。
相場価格や成約価格を調べる際は「土地総合情報システム」や「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」、地価情報、不動産会社のWebサイトなどで調べられます。
◇相見積もりをとる
相見積もりを取ることは、不動産売却において非常に重要な対策です。見積もり額は不動産会社によって異なるため、一社だけに見積もりを依頼し、その査定額が高かったからといってすぐに契約するのは危険です。複数の不動産会社に見積もりを依頼することで、提示された金額が市場価格に対して妥当であるかどうかを確認できます。
さらに、すべての不動産会社に同じ条件で見積もりを依頼することも重要です。これにより、公平な比較ができるようになります。また、相見積もりを通じて、どの不動産会社が信頼できるか、営業担当者が信頼に足る人物かを判断することもできます。
適正価格で早期・高額売却を実現
不動産売却は、希望価格で少しでも高く売り出したいと考える売主も多いですが、その分売れにくいといったデメリットがあります。少しでも早く、そして高く売るには適正価格での売却がおすすめです。
◇売れ残るリスクが下がる
不動産を希望価格で売り出すと、売れ残りやすくなります。長期間売れ残ると物件の価値が下がり、商品としての魅力も減少します。一方、適正価格や成約価格に沿った金額で売却することで、売れ残るリスクが大幅に下がります。
適正価格で売り出すと、最短で3ヶ月程度で売れる可能性があり、短期間での売却が実現します。さらに、早く売却できることで、住み替え先を同時に探すことができ、新居購入の資金計画も立てやすくなります。適正価格での売却は、不動産を効率的に売り、次のステップへスムーズに進むための重要なポイントです。
◇極端な値下げをせずに済む
適正価格での売却は、極端な値下げをせず売却できます。不動産売却での値下げは、一度値下げすると様子見されるケースや手元に入る金額が減り、ローンを完済できなくなるなどの失敗につながります。
さらに、値下げを繰り返してしまうと買主は「何かいわくつきの物件なのでは?」と警戒してしまうといったケースも多いです。しかし、適正価格での売却は値下げによるリスクを回避できるため、早期売却や高額売却ができます。
不動産売却を成功させるためには、売却希望価格と売却可能価格の2つの価格設定が重要です。売却希望価格は売主が望む価格であり、売却可能価格は市場の動向や物件の状況に基づく価格です。
価格設定でよくある失敗には、相場より高く設定して売れない場合や、ローン残債を完済できない場合があります。これを防ぐためには、相場価格や成約価格を参考にし、複数の不動産会社に同じ条件で相見積もりを取ることが重要です。
適正価格での売却は売れ残りのリスクを下げ、短期間での売却を実現しやすくします。また、極端な値下げを避けることができ、買主に警戒されるリスクも減少します。適正価格での売却は、不動産を効率的に売り、次のステップへスムーズに進むための重要なポイントです。